こんにちは、ジンです
今回はサウナの話ではありません。
というか、いつもあんまりサウナの話をしていない気がしますが、今回は特に関係ない話をします。
テーマは
「人を雇う」
です。
尚、いつも通り本文は私の主観です。共感する人だけ読んでください。
経営者以外が読むと、ただの冷たい人間の戯言に見えるかもしれませんがそれでも一向に構いませんので書きますね。
「人、増やさないんですか?」
これ、たまに聞かれます。
同業の方からも、知人からも、お客様からも。
「もっと店舗増やせばいいのに」
「人雇って回せばいいのに」
「ジンさんが現場出なくて済むようにしたらいいのに」
ありがたい話です。心配していただいてるのも分かります。
でも、私の答えはずっと同じです。
増やしません。
今日はその理由を、キレイ事抜きで書きます。
まず、数字を置きます
人を1人雇うという行為が、実際にいくらの買い物なのか。
みんな意外と計算してないんですよね。
しかも今年、その値段が上がります。
兵庫県の最低賃金は今1,116円ですが、10月1日から1,172円になります。
56円上げ。兵庫労働局の発表によると、過去2番目の上げ幅だそうです。
「最低賃金だから安い」と思ってる人、ちょっと待ってください。
10月からの時給1,172円で、1日8時間、月22日働いてもらうとします。
- 給与:20万6,272円
- 社会保険の会社負担:約3万円
- そこに雇用保険、労災、交通費
ざっくり月24万5,000円です。
年間だと約294万円。
これ、最低賃金の話ですからね。
「安く雇う」の、いちばん下のラインでこれです。
しかも去年までは月23万円、年276万円でした。
こちらが何をしたわけでもないのに、10月から1人あたり年18万円ぶん重くなるわけです。
ちなみにタイミーなどで、ピンポイントだけで雇う人間は戦力などにはならず、そんなゴミに近い戦力を雇うと逆に店の質が落ちるので、ピンポイントで人を雇うという選択肢は私にはありません。
で、ここからが本題なんですが、この294万円をミニマル基準に換算します。
虚空90分が6,600円。
294万円 ÷ 6,600円 = 約445本
つまり、その人を1人雇った瞬間から、
年間445本、1日あたり1.2本の予約を「余分に」生み続けないと、ただの赤字です。
ちなみにさっきの「年18万円ぶんの値上がり」も、虚空27本です。
自分の意思とは無関係に、毎年これが積み上がっていきます。
雇うだけで自動的にお客様が増えるなら誰も苦労しません。
現実は逆で、雇った瞬間に毎日1本以上のノルマが天から降ってくるんです。
で、その人は本当にその働きをするのか
ここが今日いちばん言いたいところです。
私は18歳から夜の世界に入って、28歳で独立しました。
自分のBARを持って、キャストを雇って、辞められて、また雇って、を20年以上やってきました。
その経験から、誤解を恐れずに断言します。
採用は博打です。
面接で「頑張ります」と言わない人間はいません。
履歴書に「私はサボります」と書く人間もいません。
でも実際に入ってみると、
- 3日で来なくなる
- LINEをブロックして消える
- 売上を抜く
- サボる
- 「体調不良」が週2回ある
- シンプルに裏切る
こんなもんです。マジで。
無論、素晴らしい人材もいます。実際に何人も見てきましたし、私のBARのレギュラークルーたちは、みんな本当にできた人間たちでした。
これは、確率の話をしているんです。
私の体感では、普通は当たりを引く確率は2割あればいい方です。
2割ですよ。
8割は、月24万5,000円を払いながら、こちらが消耗する側に回るんです。
投資でこの勝率だったら、貴方はその銘柄を買いますかね?
ウメが最初に雇ったスタッフの一人は、店のポップを書くことですら断ってました。今考えると、マジでありえない人間に賃金を支払って在籍させていたんだなと思います。さすがウメちゃんですね。
無論、そんな人間は現場が私の代になれば即除名です(除名しました)。
博打の本当のコストは、金じゃない
しかもこの博打、負けたときに失うのはお金だけじゃないんですよ。
まず教育の時間。
サウナの温度管理、水質のチェック、清掃の水準、お客様への言葉遣いや予約システムの管理。
うちは完全個室なので、スタッフがお客様と顔を合わせる回数自体は多くありません。
だからこそ、その数少ない接点の質が全部です。
これを教え込むのに何ヶ月かかると思いますか?
そして、覚えた頃に辞められたら?
ゼロからやり直しです。
次にお客様への影響。
清掃を1回手を抜かれたら、その日そこに入ったお客様は二度と来ません。
「minimalってそんなもんか」で終わります。
うちは1日に受けられる本数が決まっている商売です。
薄利多売で数を打って挽回する、みたいなことができません。
1人の失望が、そのまま売上の穴になります。
そして最後に自分の精神。
これがいちばんデカい。
人の管理って、本当に神経を削るんですよ。
シフトを埋める、モチベーションを気にする、辞めたそうな空気を読む、注意すると凹む、注意しないと緩む。
経営者にしかわからない話ですが、あの「すみません、ちょっと大切な話があるんですが」の瞬間って、いつ経験してもゲロ吐きそうなぐらい嫌な瞬間です。
経営者の思考のリソースって有限なんです。
その有限のリソースを、「人が今日来るかどうか」に使っている時点で、もう負けていると私は思っています。
正攻法は「人を増やして売上を増やす」
一般的な商売の正攻法はこうです。
人を増やす → 営業時間を伸ばす → 店舗を増やす → 売上が増える
これ、間違ってはいません。
実際にそれで成功している会社は山ほどあります。
でもね、前に書いた通りです。
弱者が強者に勝つには正攻法じゃ一生勝てない。
潤沢な資金と、優秀な採用チームと、教育マニュアルと、辞められても代わりが来る母集団。
これが全部揃ってる会社が、その正攻法をやるんです。
こっちには何もない。
その状態で同じことをやるのは、正攻法じゃなくてただの真似事です。
真似事は必ず負けます。
だから、ミニマルなんです
うちの店名、ミニマルサウナっていうんですよ。
最初は「小さいサウナだからミニマルなんでしょ」くらいに思ってました。
でも今は本気でこう思っています。
ミニマルというのは、規模の話じゃなくて、思考の話です。
自分たちが完全に把握できる範囲。
自分たちの手が届く範囲。
自分たちが責任を取れる範囲。
その範囲の中で、一切の妥協なく仕事を組む。
清掃も、水質も、温度も、予約の管理も、コラムも、写真も、SNSも全部自分たちでやる。
外に投げない。人に賭けない。
そうすると何が起きるか。
失敗の原因が全部自分になります。
これ、めちゃくちゃ健全なんですよ。
人のせいにできないから、改善が一直線に進む。
人を雇うと、失敗の原因が「あいつ」になります。
そうなった時点で、その店はもう伸びません。
幸せ度数の話
前のコラムで書きましたが、私は人生の優劣は
選択肢の多さ
で決まると思っています。
じゃあ聞きますけど、
人を10人雇っている経営者と、雇っていない経営者。
どっちの選択肢が多いですか?
10人雇ってる方は、来月も再来月も、245万円を用意し続けないといけません。
店を閉められない。休めない。値下げもできない。挑戦もできない。
売上が下がった瞬間、いちばん先に自分の給料が消えます。
一方でこっちは、来月から週3営業にすることもできるし、
1ヶ月休んで北海道でも沖縄でも行けるし、
気に入らない客を断ることもできる。
どっちが幸せか。
私は、後者です。
迷いもなく後者です。
この先も後者です。
死ぬまで後者です。
売上の額じゃないんですよ。
手元に残る自由の量なんです。
年商1億で毎日胃が痛い人生と、年商が5分の1で毎晩よく眠れる人生。
私は迷わず後者を取ります。というか、もう取っていますが。。。
誤解されたくないので書いておきます
ここまで散々書きましたが、私は
「人を雇うな」と言っているわけではありません。
うちにも一緒にやってくれているメンバー(りこてん)はいますし、本当に感謝しています。
改装で長期休業していた間も、給与は100%保証しました。
それは、りこてんが「見合う人」だと分かっているからです。
私が言っているのは、
「見合うかどうか分からない人」に、月24万5,000円と自分の精神を賭けるな
ということだけです。
人を増やさないと回らないシステムは組まないし、頭を下げて人に来てもらうような商売をした時点でもう負けていると私は考えます。
負けているというか、アホなのかと真剣に思っています。すみません。
なので私は、minimalSAUNA で働くスタッフの居心地を最優先に仕事のシステムを組み、環境を整備し、来店いただく顧客に最高のパフォーマンスでいつでも応じられるよう、一騎当千のスタッフを育てます。
そして「一騎当千」認定したスタッフには、他では絶対に真似と経験できない最高の職場環境と給金を用意し、仕事に向かってもらいます。
理想は「攻殻機動隊」の「公安9課」ですね。←私は漫画オタクなんです
最後に
規模を大きくすることが正義だと、誰が決めたんでしょうね。
大きくすればするほど、守るものが増えて、動けなくなって、
最後は「潰さないため」だけに働くようになる。
そんな経営者を、私は夜の世界でマジで何十人も見てきました。
小さいままでいい。
小さいまま、中身だけバケモンみたいに濃くすればいい。
それが、私の思う「ミニマル」なんです。
さて、今回はここまでです
また次回お会いしましょう〜〜
Captain Jin
この記事の数字の出どころ
数字を出しておいて根拠を書かないのは不誠実なので、置いておきます。
最低賃金
2026年8月4日、兵庫地方最低賃金審議会が兵庫労働局長に「時間額1,172円(56円引上げ)」を答申。
発効予定日は2026年10月1日です。正式発効はまだなので、日付や額が動く可能性はゼロではありません。
出典:兵庫労働局「兵庫県最低賃金 時間額56円引上げを答申 〜 時間額は1,172円に 〜」
月24万5,000円の内訳
| 項目 | 金額 | 計算 |
|---|
| 給与 | 206,272円 | 1,172円 × 8時間 × 22日 |
| 社会保険の会社負担 | 約30,500円 | 健康保険(協会けんぽ兵庫)と厚生年金の事業主負担分、子ども・子育て拠出金の合計でおよそ14.8% |
| 雇用保険・労災・交通費 | 約8,000円 | 概算 |
| 合計 | 約244,700円 | 本文では「約24万5,000円」と丸めています |
年額は 24万5,000円 × 12ヶ月 = 294万円。
これを虚空90分(6,600円)で割って 445本、365日で割って 1日1.2本 です。
なお、これは下振れの数字です
40歳以上の方なら介護保険料が上乗せされますし、賞与も昇給も退職金も、
求人広告費も、制服も、研修中の人件費も入っていません。
「いちばん安く見積もっても」の話だと思ってください。